20代、30代の頃の私は、いわゆる「セミナージプシー」「ノウハウコレクター」でした。
成功する方法を知りたい。起業する方法を知りたい。もっと稼げるようになりたい。そして、何より自分の人生を変えたい。そんな思いから、セミナーに参加し、教材を買い、本を読み、とにかく「学ぶこと」にお金と時間を使っていました。
「これを学べば変われるかもしれない」
そう思っては次の教材を買い、また新しいセミナーに参加する。ところが、なかなか現実は変わりません。すると私は「まだ知識が足りないんだ」と考え、さらに新しい学びを求めました。
そして気がつけば、お金はどんどんなくなり、クレジットカードも限度額いっぱい。使えるお金がほとんどなくなり、まさに万事休すというところまで追い込まれてしまいました。
人生を変えたくて勉強していたはずなのに、その学びによって自分を追い込んでいたのです。
「学んでいる自分」に安心していた
今になって振り返ると、当時の私には大きな勘違いがありました。
セミナーに参加すると、ものすごくやる気になります。成功している人の話を聞けば、「自分にもできるかもしれない」と思えます。新しい教材を買えば、それだけで成功へ一歩近づいたような気持ちにもなります。
でも、そこに落とし穴がありました。
「分かった」ということと、「できる」ということはまったく違います。
当時の私は、経営や営業、マーケティング、成功者の考え方など、さまざまなことを勉強していました。結果として事業を起こすことはできましたが、それまでに学んできた大量の知識を実際の経営で使い切れていたかというと、決してそんなことはありませんでした。
知識は増えている。でも、実践が追いついていない。
完全に頭でっかちになっていました。
それでも、あの頃の学びは無駄ではなかった
では、20代、30代でお金を使って学んだことは全部無駄だったのか。
私はそうは思っていません。
むしろ20年以上事業を続けてきた今になって、「あのとき言っていたのは、こういうことだったのか」と理解できることがたくさんあります。
昔読んだ本の一節、セミナーで聞いた経営者の言葉、教材で勉強した経営の考え方。当時は「なるほど」で終わっていたものが、自分で事業をやり、人を雇い、失敗し、悩み、また挑戦する中で突然つながることがあります。
なぜ、20代では理解できなかったことが、40代になって分かるようになるのか。
今の私は、学びには「使うタイミング」があるからだと思っています。
学びはステップ・バイ・ステップで役に立つ
例えば、まだ一人で仕事をしているときに組織づくりについて勉強しても、本当の意味ですべてを理解することは難しいでしょう。
一人目の社員を雇って初めて分かることがあります。人数が増えて初めて必要になる知識があります。そして、自分自身が現場から離れようとしたときになって、以前学んだ「仕組み化」や「権限移譲」という言葉の意味が、実感として分かることもあります。
これは経営だけではありません。営業でも、人間関係でも、人生でも同じだと思います。
自分がまだそのステップまで来ていなければ、本当の意味では理解できないことがあるのです。
だから、すべてを勉強してから始める必要はありません。すべてを理解してから行動する必要もありません。
今の自分に必要なことを学び、実践する。
まずは、それでいいのだと思います。
学ぶ→実践する→成果が出たことに集中する
昔の私は「学ぶ→学ぶ→また学ぶ→新しい教材を買う→さらに学ぶ」という状態でした。これでは知識は増えても、現実はなかなか変わりません。
今は、もっとシンプルに考えるようになりました。
学ぶ→実践する→結果を見る→成果が出たことに集中する。
そして、それを繰り返す。
実際にやってみれば、学んだことがそのまま通用するとは限りません。自分の仕事や環境に合わせて変える必要があるかもしれないし、やってみた結果、「これは自分には合わなかった」と分かることもあります。
それでいいのです。
実践したからこそ、分かったことだからです。
そして一つ成果が出たら、すぐに別の新しいノウハウへ飛びつくのではなく、まずは成果が出たことに集中する。繰り返し実践し、自分のものにしていく。
その中で次の壁にぶつかったら、そこでまた学べばいい。
これが、20代、30代で大量のノウハウを集めてきた私が、今たどり着いている学び方です。
今は昔より「ノウハウコレクター」になりやすい
私が20代、30代だった頃と比べると、今は圧倒的に情報を手に入れやすくなりました。
YouTubeを開けば成功法則や経営ノウハウが出てきます。SNSを見れば、毎日のように新しい情報が流れてきます。そして今ではAIに聞けば、知りたいことについて数秒で大量の情報を得ることもできます。
私の若い頃のように、クレジットカードの限度額まで教材を買わなくても、学ぼうと思えばいくらでも学べる時代です。
しかし、だからこそ注意しなければならないことがあります。
情報が足りないのではなく、情報が多すぎる。
「もっと勉強しなければ」と次から次へ情報を集めているうちに、何も実践していないということが起こります。
私が昔、お金を使って陥ったノウハウコレクターの状態に、今はスマートフォン一台で簡単に陥ることができてしまうのです。
だからこそ、これから大切になるのは「どれだけ知っているか」ではなく、**「知ったことを、どれだけ実践したか」**だと思います。
20代、30代の学びが今になってつながっている
私はずいぶん遠回りしました。
セミナーに参加し、教材を買いまくり、クレジットカードの限度額まで使いました。それでも結果として事業を起こすことができ、20年以上続けてくることができました。
その20年以上の中で、昔学んだことが思わぬところで役に立つ経験を何度もしています。
事業をやる。失敗する。人と出会う。教えてもらう。実践する。成果が出る。また壁にぶつかる。
そんなとき、昔聞いた言葉を突然思い出します。
「ああ、あの人が言っていたのは、このことだったのか」
学んだ瞬間には分からなかったことでも、自分がそのステップまで進んだときに初めて理解できることがあります。
だから今の私は、すべてを一度に理解しようとは思わなくなりました。
今必要なことを学び、実践する。成果が出たことに集中する。そして次のステップへ進み、そこで必要になったことをまた学ぶ。
この繰り返しでいいのだと思います。
学びは、集めるものではなく使うもの
20代、30代の私は、「もっと知れば人生が変わる」と思っていました。
でも今は違います。
人生を変えるのは、知識そのものではありません。知識を使った行動です。
もし今、たくさん勉強しているのに現実がなかなか変わらないと感じているなら、新しい本や教材、動画を探す前に、一度だけ自分に問いかけてみてください。
「最近学んだことの中で、今日実践できることは何だろう?」
大きなことでなくていい。一つやってみる。結果を見る。成果が出たら、そこに集中する。そして次の壁にぶつかったときに、また必要なことを学ぶ。
学ぶ。実践する。成果が出たことに集中する。そして、また学ぶ。
学びは、たくさん集めることに価値があるのではなく、実際に使って初めて自分のものになります。
人生を変えたくて学び続け、最後には使えるお金もなくなり、クレジットカードの限度額まで使ってしまった。
そんな私だからこそ、今はそう思っています。

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