心を整える方法は、結局「続けられるもの」が残った

心に関するケアの方法は、世の中に溢れかえっています。

私も、その時々で流行ったものはかなり実践してきたつもりです。

NLPが流行っていた頃にはプラクティショナーの資格を取りましたし、アンソニー・ロビンズが「世界ナンバーワンコーチ」と呼ばれていると知れば、実際にセミナーにも参加しました。

結果として、どれもその道を極めるところまではいきませんでした。

全部、中途半端と言えば中途半端です。

その道を何十年も研究している専門家から見れば、鼻で笑われてしまうようなレベルかもしれません。

でも、私にとっては十分意味がありました。

なぜなら、私の目的はNLPの専門家になることでも、コーチになることでもなかったからです。

私が欲しかったのは、自分が日々挑戦を続けるために、心を整える方法でした。

仕事をしていれば、嫌なこともあります。

人間関係で腹が立つこともあります。

思ったような結果が出ず、焦ることもあります。

経営をしていれば、ときには「会社が危ない」というような大きな問題も起こります。

そんなときに、自分をどのような状態へ戻すのか。

これまで学んできた中で、習慣化しやすかったもの、そして今でも実際に使っているものに絞って紹介したいと思います。

目次

出来事ではなく「意味づけ」を変える

NLPから学んだものの中で、今でもよく使う考え方がリフレーミングです。

簡単に言えば、起きた出来事そのものを変えるのではなく、その出来事に対する意味づけを変える方法です。

私なりに人間の反応を単純化すると、

出来事

過去の記憶や感情

解釈・意味づけ

リアクション

という流れがあります。

同じ出来事が起きても、人によって反応が違うのは、その間にそれぞれの記憶や意味づけが入っているからです。

例えば、仕事で失敗したとします。

「やっぱり自分には才能がない」

と意味づければ、次の行動は消極的になります。

一方で、

「この失敗を今経験したことで、次から同じことをしなくて済む」

と捉えれば、その後の行動は変わります。

もちろん、嫌な出来事を無理やり「良かったこと」にする必要はありません。

腹が立つものは腹が立ちますし、悲しいことは悲しい。

ただ、

「この出来事を別の角度から見るとしたら、どんな意味があるだろう」

と考えてみる。

それだけでも、感情に完全に飲み込まれずに済むことがあります。

「心の中の映画館」が、人への苦手意識を変えた

人間関係について、私にとって特に大きな効果があった方法があります。

私はこれを勝手に**「心の中の映画館」**のように捉えています。

例えば、苦手な人がいるとします。

その人のことを考えただけで緊張する。

顔を思い浮かべただけで嫌な気分になる。

声や言われたことを思い出し、本人が目の前にいないのにマイナスの感情がどんどん湧いてくる。

つまり人間は、現実に起きている出来事だけではなく、頭の中で何度も同じ場面を再生しています。

そこで、その頭の中の映像そのものを編集してしまいます。

カラーだった映像をセピアにする。

さらに白黒にする。

映像を遠ざける。

相手の体をどんどん小さくする。

声を小さくする。

最後には声を高くして、ミッキーマウスのような声にしてしまう。

かなり馬鹿馬鹿しく思えるかもしれません。

でも、私にとってこれは非常に大きな転機になりました。

当時、私には高圧的で、とても苦手な先輩がいました。

その人のことを思い浮かべるだけでも身構えてしまうような相手です。

そこで、この方法を繰り返しました。

すると翌日、その先輩に会ったとき、自分の感覚が明らかに違いました。

以前のように身構えなくなったのです。

さらに不思議だったのは、実際にその先輩の私に対する態度まで変わっていったことでした。

なぜ相手まで変わったのかは分かりません。

私が怯えたり身構えたりしなくなったことで、表情や声、話し方、相手への接し方が変わり、それに相手が反応したのかもしれません。

ただ、私にとってもっと大きな収穫だったのは、その経験を境に人そのものに対する苦手意識がほとんどなくなったことです。

これは、その後の私の人生にかなり大きな影響を与えました。

それまでの私は、飛び込み営業など、とてもできるようなメンタリティではありませんでした。

知らない会社や施設を訪ねて、いきなりインターホンを押す。

以前だったら、

「忙しかったら迷惑かな」

「嫌な顔をされたらどうしよう」

「今日はやめておこうかな」

と考えていたと思います。

ところが今では、営業先に着いたら1秒以内にインターホンを押すという自分のルールを実行できます。

考える前に押します。

考える時間を与えると、人間はいくらでも「やらない理由」を作れるからです。

もちろん、この一つのテクニックだけですべてが変わったわけではありません。

その後の経験の積み重ねもあります。

それでも、人に対する恐怖心から抜け出していく大きなきっかけの一つだったことは間違いありません。

1年ではなく、10年という時間で考える

毎日やるものではありませんが、年に数回くらいは未来を具体的に考える時間を取ります。

いわゆるフューチャーペーシングです。

5年後。

10年後。

自分はどこにいるのか。

どんな仕事をしているのか。

誰と一緒にいるのか。

どんな生活をしているのか。

一日の時間を何に使っているのか。

できるだけ具体的に想像します。

このとき、私が思い出すアンソニー・ロビンズの言葉があります。

「多くの人は1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価している」

という趣旨の言葉です。

これは本当にその通りだと思っています。

1年で人生を大きく変えようとすると、焦ります。

思ったほど売上が上がらない。

思ったほど会社が成長しない。

思ったほど自分が変わらない。

そして、

「自分には無理なのではないか」

と思ってしまう。

でも10年という単位で振り返ると、まったく違う景色が見えてきます。

10年前にはできなかったことが普通にできるようになっている。

知り合うことすらなかった人たちと仕事をしている。

当時は夢のようだったものが、いつの間にか日常になっている。

だから私は、短期間で結果が出ないときほど、少し遠くを見ることが大切だと思っています。

今日の小さな行動を10年間続けたら、どこまで行けるだろう。

そう考えるだけでも、目の前の失敗の見え方は変わります。

一度は「人生のブループリント」を作ってみてほしい

フューチャーペーシングとあわせて、ぜひ一度やってみてほしいと思っているのが、将来のブループリントを作ることです。

自分は将来どうなりたいのか。

仕事。

お金。

家族。

人間関係。

健康。

住む場所。

働き方。

時間の使い方。

社会との関わり方。

そうしたものを、できるだけ具体的に描いていきます。

私自身、振り返ってみると、これまでブループリントに描いてきたことはほとんど実現してきています。

ただし、一つ欠点があります。

達成するのがめちゃくちゃ遅い。

これは方法が悪いのではなく、私自身が途中で寄り道したり、中途半端だったり、真剣に取り組まなかった時期が長かったからだと思っています。

だから、もし本気で取り組む方なら、私よりずっと早く到達できるかもしれません。

ブループリントを書いたから願いが勝手に叶う、という話ではありません。

大事なのは、自分がどこへ向かおうとしているのかが明確になることです。

目的地が分かれば、日々の選択が少しずつ変わります。

その積み重ねが、5年後、10年後の違いになるのだと思っています。

私独自の「頭の中のゴミを洗い流す方法」

ここからは誰かに教わった方法ではありません。

ただの私の習慣です。

昔、雨音だけが30分ほど録音されている音源を手に入れました。

音楽も入っていません。

人の声もありません。

ただ雨が降っている音だけです。

私は時々、それをヘッドホンで聴きながら目を閉じます。

そして、頭の中に溜まっている嫌な感情や雑念が、雨と一緒に流れていくところをイメージします。

嫌だった出来事。

腹が立ったこと。

焦り。

不安。

恥ずかしかったこと。

頭の中に浮かんでくるものを、一つずつ雨で洗い流していきます。

30分くらい、それだけをやります。

医学的にどうなのかは知りません。

誰かが教えている正式なメソッドでもありません。

でも、私の場合はかなり頭がすっきりします。

私はこれを勝手に、**「頭の中のゴミを洗い流す」**と思っています。

毎日やるわけではありません。

頭の中がごちゃごちゃしてきたときに使う、私なりのクリーニング方法です。

オーディオを使ったものはほかにもいくつかありますが、そのあたりは興味がある人がいれば、また別の機会に書きたいと思います。

フォーカス・ランゲージ・フィジオロジー

そして、普段から意識しているのが、

フォーカス
ランゲージ
フィジオロジー

の3つです。

フォーカス――何を見るか

有名なコップの水の話があります。

コップに半分水が入っている。

それを見て、

「まだ半分もある」

と思う人もいれば、

「もう半分しかない」

と思う人もいます。

現実は同じでも、何にフォーカスするかによって、その後の感情や行動は変わります。

もちろん、何でもポジティブに考えればいいという話ではありません。

大事なのは、

「自分はいま何を見ているのか」

と気づくことです。

失ったものだけを見ているのか。

残っているものを見ているのか。

失敗だけを見ているのか。

そこから得たものも見ているのか。

フォーカスが変われば、行動も変わります。

ランゲージ――頭の中で使う言葉

次は言葉です。

日本でも小林正観さんや斎藤一人さんが「天国言葉」と話されていたり、日本には昔から言霊という考え方があります。

私は特に、自分が頭の中で自分に対して使っている言葉が重要だと思っています。

「どうせ無理だ」

「また失敗した」

「自分はダメだ」

「なんで自分ばかり」

こうした言葉を頭の中で繰り返していれば、そこから良い行動を起こすのは難しくなります。

逆に、

「では次はどうする?」

「一つだけやるなら何だ?」

「ここから何ができる?」

と問いかければ、次の行動を探し始めることができます。

人にどんな言葉を使うかと同じくらい、自分自身にどんな言葉を使っているかを意識することは大切だと思っています。

フィジオロジー――私はこれを特に重要視している

この3つの中でも、私が特に重要だと考えているのがフィジオロジー、つまり体の使い方です。

心を変えようとすると、どうしても考え方ばかりを変えようとしてしまいます。

でも、考え方がなかなか変わらないときがあります。

そんなときは、先に体を変えてしまう。

姿勢を伸ばす。

顔を上げる。

胸を開く。

深く呼吸する。

歩く。

笑顔を作る。

声を少し大きくする。

落ち込んでいるときの体を想像すると分かりやすいと思います。

下を向いている。

背中が丸まっている。

呼吸が浅い。

声が小さい。

動かない。

だったら、その逆をやってみる。

体と感情は切り離されているものではありません。

心から変えられないなら、体から変える。

私はこの考え方を日常の中でかなり使っています。

今では、深みに入ることがほとんどなくなった

昔の私は、人間関係や仕事で何か起きると、その出来事の中に深く入り込んでしまうことがありました。

一つの出来事を何度も頭の中で繰り返す。

そこから悪い未来を想像する。

そして、さらに不安になる。

でも今は、そういう深みに入ることがほとんどなくなりました。

もちろん、腹が立つこともあります。

嫌なこともあります。

経営上の問題が起きれば、当然考えます。

ただ、その出来事によって自分自身まで全部持っていかれることは少なくなりました。

会社を経営していれば、本当に大きなピンチもあります。

「もしかすると会社が倒産するかもしれない」

というようなところまで追い込まれたこともありました。

普通に考えれば、相当怖い状況です。

でも、そんなときでも私は、

「最悪でも死ぬわけではない」

と思っていました。

そしてもう一つ、

「必ずまた上向く」

という信念のようなものがありました。

根拠を説明しろと言われると難しいのですが、これまで何度もそういう経験をしてきたからだと思います。

追い込まれて、

「これはさすがに厳しい」

と思っていると、思いもしなかった人から声をかけてもらったり、新しい仕事につながったり、外から助けが現れたりする。

そういう経験を一度ではなく、何度もしてきました。

もちろん、何もしなくても誰かが助けてくれるという意味ではありません。

自分でできることをやる。

動く。

考える。

それでもどうにもならないように見えるときに、予想していなかったところから道が開けることがある。

その経験を何度も重ねた結果、

「今回も何とかなるだろう」

と思えるようになったのだと思います。

心を整える方法を、一つに決めなくてもいい

ここまでいくつか紹介しましたが、私はどれか一つの方法だけを信じているわけではありません。

リフレーミングを使うこともあります。

頭の中の映像を変えることもあります。

未来を見ることもあります。

ブループリントを見直すこともあります。

雨音を聞くこともあります。

姿勢を変えるだけのこともあります。

そのときの自分に必要なものを使えばいいと思っています。

長い間、いろいろなことを学びました。

専門家にはなれませんでした。

中途半端に終わったものもたくさんあります。

それでも無駄ではありませんでした。

その中から、自分に合うものだけが少しずつ残ったからです。

心を整える方法とは、万能な方法を一つ見つけることではないのかもしれません。

自分を良い状態へ戻すための道具を、いくつか持っておくこと。

私はそんなふうに考えています。

心を整えるのは、また挑戦するため

私にとって心を整えることは、いつも穏やかでいることでも、いつもポジティブでいることでもありません。

嫌なことは起きます。

失敗もします。

経営をしていれば、大きなピンチもあります。

それでも、

怖ければ整える。

頭の中が散らかれば掃除する。

フォーカスがずれたら戻す。

言葉が悪くなっていたら変える。

体が沈んでいたら、先に体を動かす。

そして、また次の一手を打つ。

昔は人そのものを怖がっていた私が、今では訪問先に着いたら1秒以内にインターホンを押しています。

会社が危ないと思うような状況でも、

「最悪でも死なない」

「また上向く」

と思って動けるようになりました。

そう考えると、人間は案外変われるものです。

ただ、一気に変わる必要はありません。

1年だけを見ない。

5年、10年という時間で見る。

その間に何度失敗しても、心を整えて、また挑戦する。

私にとって、これまで学んできた心の整え方は、人生から嫌なことをなくすための方法ではありません。

何が起きても、自分を整えて、また挑戦するための道具です。

結局、たくさん学んできた中で今でも残っているのは、私が実際の人生の中で使い続けられたものだけでした。

それで十分なのだと思っています。

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